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パップの話

 パップ組の名前の由来になったパップは、字義的にはダール・豆を意味しますが、テルグ人にとって「パップ」と言ったらそれはずばり、トゥール・ダールのこと。ほかの豆は、例えばぺサラ・パップ(緑豆)、シャナガ・パップ(チャナ豆)などとフルネームで呼ばれますが、トゥール・ダールはダールの代名詞、別格なんです。

 

 パップはテルグ人の大事なたんぱく源。パップのない食事はないと言ってもいいくらい。友人のチェスのプロ棋士さんが、外国に行ったときになくて一番困るのはパップの味だと言っていました。確かに、日本でも「豆カレー」はトゥール・ダールでないことが多いので、外食続きだと大変なんでしょう。 

 <パップ料理>

 パップは十分な水で柔らかくなるまで茹で、専用の木槌で荒く潰して半ペースト状態に。その後、熱したギー油で少々のスパイスをテンパリングし、パップと混ぜて塩で味付けしたら出来上がり。

 

 トマトなど野菜と組み合わせたメニューも日常食。私の大好物はゴーングーラ菜とヤギ肉が入った「ゴーングーラ・パップ・マームサム」や、野菜の青マンゴーが入った「マーミディ・パップ」。

 

 家庭では料理の途中でペーストの一部や余計な水分を別に取りわけ、プルス(サンバル)やチャール(ラッサム)のベースとしても使います(「パップ・プルス」や「パップ・チャール」というのもある)。つまりパップは料理の基本、出汁にもなるのです。 

<店頭で>

 トゥール・ダールのは日本のインド食材屋さんでも、乾燥したひきわりの状態で売られています。見た目がチャナ豆と似ているので間違いそうですが、チャナ豆ほどコロッとした厚みがありません。平たい感じ。

 

 数年前アメ横のとある店で、なんか見た目が変だなと思って店員さんを問い詰めたところ、アメリカ産であることが判明(産地表示がぁぁ・・・)。今うちで食べているのは、高田馬場のミャンマー食材屋で買ったもの。ま、いろんな国で生産され、食されているんですね。

パップをつぶす木槌。

パップを茹でるインド製圧力鍋。まず、デザインが美しい。そのうえフタは楕円形で、いったん鍋の中に落とし90°回してから上に取り出すようになっている。丸い鍋に楕円形のフタという発想、フタを上でなく下に落としてあけるという逆転の発想に意表を突かれます!