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雨ぞ降る

 酷暑の後には大雨が。

 インドでは4~5月の夏の後、6月にモンスーンがやって来ます。恵みと同時に災害をもたらす雨。アーンドラ地方では1万人以上の犠牲を出した1977年のサイクロンなど、過去の巨大水害がいくつも知られています。

 

 日本では雨季というと夏前の梅雨を思い浮かべますが、サイクロンとも言うべき台風はインド同様夏の後に襲ってきますね。今回、わが水戸でも私の勤め先から徒歩圏内が大洪水になってしまいました。学生ボランティアの出陣を見送りながら、1日も早い復興を願うばかりです。

 

 それで思い出したのは、遠い昔に知り合いから「これってハイダラーバード藩王国の話じゃないの」と言われて見たアメリカ映画「雨ぞ降る」(1939年)。すごく古い白黒映画。見どころは中盤のモンスーンのシーンで、ものすごい天変地異になっちゃう。その迫力ある映像が、アカデミー賞の特殊効果賞を受賞しました。

 

 そんな迫力ある特撮を特撮好きなテルグ人が見逃すはずはなく、「クリシュナ神とアルジュナの戦い」(Sri Krishnarjuna Yuddam、1963年)をはじめとするいくつかの映画で洪水のシーンが使いまわされたようです(今だったら問題だ)。

 

 ちょっと調べてみると映画の元にはルイス・ブロムフィールドというピュリッツァー賞作家の原作があり(原題The Rain Came)、また映画は「雨のランチプール」というタイトルでリメイクもされたそう(1955年)。ただしランチプールは架空の地名で、本当のところハイダラーバード藩王国が作家の念頭にあったのかはわかりません。

 

 というわけで、原作の日本語訳『雨季来る』(大久保康雄訳)(1954~56年)の古本を見つけました。読む時間、あるかなぁ。

追記:

 後日『雨季来る』を読んだところ、舞台はハイダラーバード藩王国なんかではまったくなく、西部インド。ヒンディー語とグジャラーティー語が使用されている地域だということが判明。あ~ なんか残念。