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Saahoと饒舌なテルグ人

昔ボルヘスを読んでいた時にそこに書いてあったのか、自分が勝手にそう思い込んだのかはわからないんだけれど、小説の冒頭の文が長かったり難解だったりするのは、読者を現実から本の中へ一気に引き込むためのテクニックなのだということになり、それからというもの、多少読みにくい本の出だしも、ちょっと我慢して丁寧に読むようになりました。

 

それで、現在公開中のSaahoのオープニングのナレーション。面白半分で途中まで逐語訳してみたところ400字にも!うへ~。当該部分の字幕は200字弱。冗長・早口・情報過多はテルグ人のセンスなんでしょうし、何か効果を狙ったものかもしれません。でも、結局日本語字幕にすれば全部バッサリで、なんと小気味いいこと。饒舌vs簡潔。言語の異文化がせめぎあっているって感じます。(笑)

 

 そういえば、ノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・センの『議論好きなインド人』(2008年)の冒頭には、1957年に政治家クリシュナ・メノンが国連で行った8時間におよぶ演説のエピソードが紹介されています。世界最長。いまだに破られていないとか(そりゃ簡単じゃないでしょう)。ちなみに、その次に長い演説は1960年キューバのカストロが行った4時間半、同じ国連でのこと。その後国連での演説に時間制限が設けられたかどうかはわかりません。